Since1983

Nash music library

「著作権」を引き受けること
~音楽ライブラリだからできること

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何年もかけてやり直すこともあると聞きます。

音楽ライブラリの仕事は、それとは全然違うスピード感でばんばんやっていく。ある意味、そんなことは普通やりませんから、面白いと言えば面白かったですね ( 笑 ) それはもう徹底的に腰を悪くするくらいに大変でしたが。バンドで何時間も演奏させられたことはありましたが、曲作りを四六時中やっていないといけないというのは、それはそれで、ある意味、得難い経験をさせてもらったことは間違いないですね。

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色んな考え方があり、これが正しいとか、これが間違いとか言うつもりはありません。しかし、それだけたくさんの数の作品を作ることに意味がないかと言ったら、絶対にそんなことはないですね。音楽を作るとはどういうことか、そんなことを立ち止まって考えるよりも先に、次々次々に、どんどん何かを生み出していく、するとどーっと自分の中の何かが活性化されていく・・・そんな作業を誰でも一度はやってみたらいいのではないか ( 笑 ) そんなことをしていたら何もなくなって枯れてしまうんじゃないか、と思われるかもしれませんが、それはちょっと違う。あーもうだめ、そう思ってごろんと横になり、一時間くらい寝ていて、ガバッと起きてもう一回やろう、と。それでまた出てくる。ある種の極限状態なのかもしれないですね。マラソンでもランナーズハイとかあるじゃないですか、あれと同じようなことがあるかもしれません。これは単なる余談ですが ( 笑 )

一方その頃からすべての権利を集約して音楽作品を揃えていき、ユーザーが使用しやすい契約体系を構築しています。

音楽の契約体系、料金、供給方法をユーザーに受け入れやすいように形作ることに努力してきました。

音楽ライブラリの大きな課題は、音楽著作物をどのように許諾するか、
ということと同時に著作権を許諾する権限をいかにして保持するかにかかっています。
それがナッシュミュージックライブラリーの社会的役割を担っていると言ってもいいと思います。

一度売れたら音楽家が儲かる。それは音楽が著作物であり、著作権が作者にずっと保全されており、曲を聴いた人からお金を徴収するために作られた管理システムがあるからです。そのシステムによって大金持ちになれる。でもその同じシステムが音楽を使用することを難しくしていることもまた事実です。

当時のミュージシャンは、私を含め、そんな既存の音楽ビジネス・システムの枠組みの中にありました。そのような時に、一回だけ使用料支払えばずっと使えるレコードが欲しい、そんな厚かましいことを突然言われました。最初聞いたときは馬鹿者と思いましたが ( 笑 ) その後、どんな音楽が放送・映像業界の現場で便利かについてヒアリングを重ねた結果、やっぱりそれが一番使い易いのだなと納得しました。音源の使用料を、最初にじゃあいくらですよ、と全部まとめてもらってしまう。

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非常にシンプルですね。「音楽は権利の塊」と言われるように、音楽を創る際には多くの人が関わるので、様々な権利が発生します。それをすべてクリアにし、BGM として使用するのには各々の許諾が必要なところですが。

一回しかもらわない。それがナッシュミュージックライブラリーの著作権の使用許諾方式であり、創業当初から今日に至るまで、全く同じシステムです。1983 年当時、そんなことは誰もやっていませんでした。調べつくしたわけではないし、知りませんけども ( 笑 ) 自分の耳目に入るものにはなかった。一回お金をもらったらそれでいいですよ、いくらでも使ってください、と。もちろん契約書を交わすわけですが。これはもちろん「ロイヤルティフリー」とか「著作権フリー」とか非常にややこしい言い方で呼ばれるようになった許諾方式です。
要するに、独自の著作権許諾システムと音楽コンテンツを一緒にお客さんのところに持っていったわけです。

―それを 30 年以上に渡って行っている。豊富なバリエーションが生み出され、ますますライブラリが充実しています。

一般的に音楽の制作は多くの人が関わってクリエイトするものです。曲を書く人、詩を書く人、アレンジする人、演奏する人、歌を歌う人、録音する人、完パケする人等、コラボレーションとして一曲が完成します。当時、それを全て一人で行うのは至難の技で、実際最近まで音楽制作はかなり大変な作業の連続でした。現在はPC だけでも完成度の高い音楽を創ることができる DTM の一般化で、多くの人が関わらなくても、一人でも楽曲を創れるようになりました。

首都圏のユーザーの割合が非常に高く、東京の音楽制作会社と思われている方も多いそうですね。

インターネット利用が進んだ現在、ビジネスモデルが小売に近いこともあり、特に会社の場所を選ぶ必要もありません。デジタル化によりデータ転送とダウンロードが容易になり、音楽制作はますます場所を選ばなくなってきています。ナッシュミュージックライブラリーはアナログ時代にスタートしましたが、徐々にデジタル時代へ移行していった時期を経て、今は制作の現場から商品そのものまでがデジタルとなっています。

インターネット上で音楽がデジタルコンテンツとして販売できることを知った 1995 年頃、それまで販売していた CD に代るメディアになる確信を持ちました。これは私たちにはとても幸運なことであったと同時に、様々な中小零細企業がもつ豊かなコンテンツを広く社会が手に入れることが可能になったことを意味しています。ダウンロードサイトを立ち上げた当時、できたばかりの Yahoo、インターネット雑誌からの掲載オファーもあり、国内より海外からの注文の方が先に来ました。

便利にはなりましたが、著作権の管理はよりいっそう難しくなっています。ストリーミングの台頭により、日々、世界中で無数の音源が気軽にアップロードされるようになりました。

ネット上で音楽が縦横無尽に飛び交うようになった今日、著作権が保護されない、あるいは供給側も著作権についてよくわからないままに供給している現実があります。でも逆に言うと、これは昔から同じです。

インターネットの世の中になり、音楽ダウンロードやストリーミング等、
多くのサービスが様々な形で提供されていますが、著作権についてはまだまだみんなで
考えないといけない余地があり、意識を大きく変えていく必要があると思います。

音楽ライブラリの事業は、著作権について確信を持っていないとできません。ナッシュミュージックライブラリーは、その創業から今日に至るまで、一貫した考え方で、音楽作品の著作権をきちんと整理して提示してきました。ある意味、音楽ライブラリをやれば自由に音楽を創れる、そんな場が生まれる一方で、そこではアーティスト自身が必ず引き受けないといけない事があるということです。

市販音源は言うに及ばず、業務用音源である音楽ライブラリのコンテンツも供給過多と言われています。そんな時代だからこそ、供給側だけでなく、アーティスト側にも責任が問われます。

著作権の問題を引き受けないと音楽ライブラリはできません。アーティストはどうしてもその辺がぼんやりしたままというケースが多い。ですから、ナッシュミュージックライブラリーで仕事を始める制作スタッフには、ここまでお話をしたような作家としてのメンタリティの部分、著作権に関する話は、よく理解してもらえるまで話をしてきました。若いアーティストにも常々申し送ってきましたし、現在のプロデューサーも間違いなくやってくれていると思います。その点、ナッシュのスタッフはめちゃくちゃ気合いが入っていると言えます。
今でも制作スタッフたちの認識について時々確認させてもらいますが、いや、うちのスタッフは気合いが入っています ( 笑 )