(写真左から順に) 柏森治・竹中裕深・藤原克匡の3人のチェリストをフィーチャ―。クラシック、和風、ロックを中心に、和魂洋才のサウンドに彩られた、バラエティ溢れるオリジナル楽曲を収録したチェロトリオ・アルバム。

 

Triad

by

Katafu Cello Trio

黙々と、誠実に、ベテランの安定感で支える柏森治。女性的な優美さ、繊細さが光る、紅一点の竹中裕深。チャレンジングな運指をこなす、アクティブで、若々しい、藤原克匡。従来的な音楽の文脈では、全てのチェリストが同じ旋律の演奏をするように求められる事も多いが、本作【Triad】の制作においては、メロディ・バッキング・ベースといった演奏上の役割分担を行う等、三者三様の特徴が際立つくような作品づくりを心掛けた。

 

アルバムには柏森氏のオリジナル作品も収録している。
アルバムには柏森氏のオリジナル作品も収録している。

 

【Triad】の数字の「3」へのこだわりとイマジネーション

・男女の三角関係を主題に三奏者がそれぞれの役割を演じる楽曲“Hard Triad”。

・入り乱れる旋律が躍動感のある三つ巴の戦いを描写する“三者の舞”。

・主人公の三毒煩悩を表現するロック調の“Quick Sand”(芥川龍之介の「蜘蛛の糸」がモチーフ)

・三奏者がそれぞれ「叩く (メロデイ)」「研ぐ (バッキング)」「押さえる (ベース)」役割を受け持ち、三者で一本の刀を作り上げていく刀鍛冶の工程を再現する“Sword of Sparks”。

その他、最小単位のフレーズがそれぞれの奏者の赴くままに変化していくミニマル風の“東南東の風”。天神祭をテーマにし、太鼓や摺鉦を模した手法がユニークな和風の“天神”。チェロでしか表現できないとも言われる高音の魅力が詰まったクラシカルな難曲“三峻”等、全てオリジナル作品を収録している。どの楽曲でも演奏家の個性が輝いている。

近藤学 (「Triad」プロデューサー/取締役制作部長)