「小さなオーケストラ」とも言われるギターが、湿気と不条理をたっぷり含んだ日本の土壌と霊性に黒々と呼応する。

黒弦

by

3rd Craft

 

「ギターを和楽器に…」いつものように思いつきアイデア合戦で企画ミーティングが盛り上がったのはいつのことだっただろう。Nashの並み居るギタリストが、また訳のわからん話と明らかに迷惑そうな顔だったのは私の思い過ごしかもしれないけれど、作品作りは遅々として進まなかった。

 

邦楽をギターでやる?...いいや。
他の和楽器とギターのセッション?...ちゃうな。
ギターに何か細工して和風の音にする?...あかん。
日本調オープンチューニング!...うう~む。

箏のように、琵琶のように、三味線のように…ギターを弾いたとしても、ああ面白かったって言ったとしても、それNashの仕事やろか?という疑問がムクムクと浮上して、既に様々に確立した日本伝統音楽のエリア内でギターができることなんて他の人に任せておいて、西洋人はおろか日本人でもあんまり聞いたことのないようなサウンドを、コンテンポラリー日本人のオレたちがつくれたら、それをギターでやったら「ギターは和楽器に」なる。

これまたいつもの(やや粗暴な)理屈を並べて、試行錯誤が始まった。

で、「黒弦」です。


結論から言えば、日本固有の音楽メンタリティー、音楽外メンタリティー、時空観/自然宗教観がなければこの作品作り/音作りはできなかった…と断言しましょう。
「小さなオーケストラ」とも言われるギターが、湿気と不条理をたっぷり含んだ日本の土壌と霊性に黒々と呼応する。凛として、決然として、弾いている、聴いているのはざまを自在に行き来するようなナチュラルさがまこと驚きだったのと同時に不思議でさえあった…伊藤くん、素晴らしい演奏でした。 

梨木良成 (プロデューサー)

 

スタジオでのスクランブル伊藤と梨木良成
スタジオでのスクランブル伊藤と梨木良成