ナッシュスタジオの工房では今日も作家たちが音づくりに励んでいます。つくっているのは音作品なのですが、一般的な音楽プロダクションスタジオに比べて、わたしたちの音楽のつくり方は、食器 (日用品) をつくる陶芸工房に似ているところがあります。

食器は誰もが使うもの。たくさんつくらないといけません。それもいろんな色や形や大きさが必要です。普段使いで飽きがこないもの、質素な趣のもの、贅沢な雰囲気のもの、和柄のもの、欧米風のもの、奇抜なスタイルのもの、およそ食器とは思えない実験的な意匠のもの。世の中にはありとあらゆる種類の料理が存在し、それを供するためにありとあらゆる食器が必要とされます。

音楽ライブラリのBGMも同じです。

わたしたちは皆様の表現(=主役の料理)を背景で引き立てる音楽(=食器)をつくっています。

ナッシュスタジオでは、多様なニーズに応えるために (色んな音の食器をご用意するために) 工房内で「お題」と呼ばれる制作テーマを決めてからアルバム作品を作っていきます。事前に作家たちと「今回はこんなものを作る」という枠組みの共有を行い、その後は各々が表現する。そうすることで、多種多様な作品が生み出されていきます。

わたしたちは、いつもバラエティ・バリエーションを意識して、創作に取り組んでいます。

ナッシュスタジオの工房作家たちの仕事に終わりはありません。陶芸家のように、一つ仕上げたら、次をつくり始めます。華やかな舞台とはおよそ無縁に、創作と向き合って一心不乱につくる。実際に使ってもらって、いいと感じてもらえるものを思い描きながら、つくる。自分自身の作家性の追求や、ものづくりの探究心から、つくる。柄のパターンを工夫したり、新しい手法に挑戦したり、様々な素材を試したり、工房の職人たちで力を合わせたりして、つくる。

そんな日々の工房の取り組みの中で生み出される音の数々は、皆様の料理=創作を引き立てる食器のような役割を担っています。(それ自体で鑑賞して楽しんでいただく事もできますが) わたしたちは「日用品」のように使用される「音楽の形」を独自に追求しています。

村岡 (制作スタッフ/海外営業・PR)