midair

by

森堂自


ほんわかと
ほっかりと中空に浮かんで
そこにはなあんもなくて
時折風が通り過ぎたり
遠くの残響が行き交ったり
キラキラと光が乱反射したりするだけで、
ただあるがままの静けさと
ほとんど止まりそうな時間に
満ちている。

まあるい球体のようでもあり
とてつもない広がりのようでもあり
どこまで奥行きがあるのかすら
わからない。

仕方が無いから、
ちょっと拝んでみることにしよう。
なんも考えずに手を合わせてみよう。
閉じたまぶたから涙があふれてきたとしても
それはそれで、きっと
ええんよ。

森堂 自