Nash Artists' Labo

Nash Artists' Labo

自己の主体的な表現としての作品=アルバムづくりにフォーカスした音楽制作の場へ。Zipeastが "Nash Artists' Labo" に生まれ変わる。

工房ワーク

工房ワーク

新社長就任~ナッシュミュージックライブラリーの新しい「音楽ライブラリ」の取り組み。

コアメッセージ

コアメッセージ

音楽ライブラリだからできること。著作権を引き受けること。自由自在に音楽を創るための枠組み。

Feature

工房ワーク

新社長就任~ナッシュミュージックライブラリーの新しい「音楽ライブラリ」の取り組み。

横山美加 (代表取締役)/近藤学 (チーフプロデューサー) 2018年7月 ナッシュスタジオにて 【1】権利面セーフティの楽曲制作 ―ナッシュミュージックライブラリーは業務用音楽素材を提供するサイトとしてクリエイターにはよく知られた存在です。 横山:主に音源の使用許諾を行っているので、音楽制作スタジオというより、業務用の音楽ライブラリを取り扱う「供給業者」あるいは「出版社」のイメージが強いのかもしれません。ナッシュスタジオは第一に音楽制作会社です。ナッシュミュージックライブラリーの楽曲は全て弊社のオリジナルであり、一貫してここ大阪市北区の自社スタジオで制作しています。 ―音楽制作の部分はあまりクロースアップされていなかった。 横山:そうかもしれません。最近は多くのライブラリーがインターネットでサービスを展開していますが、全ての楽曲をオリジナル制作で展開している音楽ライブラリーは海外も含めてほとんどありません。 ―どうして自社制作にこだわっているのですか? 近藤:作曲家・演奏家とダイレクトにコラボレーションを行うことにより、各々のアーティストが持つ個性・アイデア、現場で起こる発想をダイナミックに活かした作品づくりを行うことができることは確かです。また、作曲家の立会いの元、ここナッシュスタジオで作品のチェック・最終ミックスまで、われわれ自社スタッフが行うことで、一貫した制作観念の元、全体的なクオリティの維持・向上に努めるようにしています。 ナッシュスタジオでは、アーティスト同士の緊密な連携、コミュニケーション、チームワークを通して音楽制作のプロセスを楽しむことをモットーとしています。一人で作り、二人で作り、ボーカル作品であれば作詞家・作曲家・シンガーの三人で作り・・・それからバンド演奏になるとプレイヤーが五人、六人になり、ストリングスの録音になると、十人、二十人が参加する。オーケストラになると四十人、フィルハーモニックであれば六十人。そこに関わるエンジニアや編集の人たちを入れると、ナッシュスタジオのプロジェクトに関わっている人の数をもっと増えていく。よくよく考えると、日々、ナッシュスタジオでは幅広いコラボレーションが行われています。 横山:権利をクリアにする面でも自社制作のアドバンテージはあります。様々な作家さん、演奏家さん等と共に作品づくりを行うので、もちろん多くの権利が発生するのですが、BGM使用許諾に必要な権利に関しては、全てナッシュスタジオが法人として権利の譲渡契約を行います。そうして楽曲の権利を自社管理することによりクリアにし、全世界で、あらゆるメディアに、何回でも使用して頂ける「完全ロイヤルティフリー」のライセンス許諾を実現しています。 ―コンプライアンスが重視される昨今、権利面で不安を抱えているユーザーには安心です。 近藤:制作面でも、著作権をめぐる昨今の複雑な状況にも十分配慮する必要があります。最近はクラブサウンドやDJ向けだけでなく、音楽制作そのものに使用できるループ素材や、すでに完成した音源を組み合わせることで楽曲を作る手法が確立されました。そのような既存の素材を組み合わせる手法は確かに面白く、スタイルとしても面白い作品ができるかもしれませんが、権利面がグレーな音源、音素材が紛れ込んでしまう可能性があります。ですから、ナッシュスタジオでは素材レベルで一から制作することを心がけています。そういう意味では、ナッシュミュージックライブラリーは「完全オリジナル」であると言えます。 横山:全ての作曲家にわざわざスタジオまで来てミックスに立ち会ってもらうのは、その点のチェックの必要性も兼ねています。少しでも疑問に思ったら「この音源はどうしたの?」と作曲家自身に直接その場で訊ねて、確認を行います。「いや、自分で作りました」と (笑) スタッフとしては、そういうことに気を配りながら作業を行っていきます。 ―普段からそこまで徹底的に管理している。 近藤:楽曲であれ、それに使用される素材であれ、少しでも権利面に不安があるものは取り扱わない、というのがナッシュスタジオの方針です。例えば、一見パブリックドメインにあると思われるクラシックや民謡等には、著作権保護期間の延長があったり、編曲家の権利が一部残っている場合があり、著作権トラブルの元となる可能性があるので基本的には取り扱っていません。その代わり、ナッシュスタジオでは、クラシック”風”・民謡”風”等、完全なオリジナル作品を自社で制作し、お応えするように努力しています。   自社スタジオで生楽器の録音作業を行う近藤学 【2】「お題」から生まれるバラエティ・バリエーション ―音楽ライブラリの理想はあらゆる音楽を網羅すること、と言われます。 近藤:ですから、バリエーションを広げることを念頭にして楽曲を作っていきます。個人的には、企画からミックスに至るまで、前の曲ではこんなことをしたから、次の曲では違うことをしてみよう。そんな考え方を心がけています。全体の方針としても、よりバラエティやバリエーションを増やすために「次はどんな作品を創るべきか?」ということを綿密なスタッフ会議を通して決めていきます。プロジェクトを特定の制作テーマに落とし込んでいくわけです。 ―制作テーマとは、例えば、クリスマス・お正月・夏休み等のシーンや、ジャズ・クラシック・ロック等の音楽ジャンルなんかもそうですね。 横山:そのような制作テーマは、ナッシュスタジオでは「お題」と呼ばれています。ユーザーの皆様からの声をできるだけ反映させた作品づくりも大事にしているので、こんな曲が欲しい、あんな曲が欲しい、というユーザーさんのリクエストからお題を設定することもあります。音楽ライブラリですから、とにかく万遍なく作っていきたい。そこでお題が役に立ってくれます。 お題の設定の仕方は限りなくあります。昔流行っていてかっこよかったあんな曲を作りたいな、と作り始めることもありますし、こんな曲があったらいいな~とか、ありそうなのに聴いたことがないな~とか、そんな発想からお題を設定することもあります。何が何だかわからないけれど面白い、そんな新しいサウンドが思いもよらない「お題」から生み出されることもあります。 近藤:例えば、過去・現在・未来の音楽があると、いう風に考えます。過去の音楽と言うのは、年月をかけて広く社会に浸透した、多くの人々が聴き馴染みのある、イメージが共有されている類の音楽です。現在の音楽というのは、世の中には出ているけれど、まだ若い、いわば最先端のサウンドです。そんな過去・現在の音楽は全て「お題」を考える材料になり得ます。 そして未来の音楽。これは作り手側もさっぱりわからない、リスナーもわからない、現在に生きる我々には想定も難しい、そんな未知のサウンドかもしれません。過去・現在のサウンドはもちろん、ナッシュミュージックライブラリーの自由自在に音楽を作る枠組みがあれば、そんな未来のサウンドを担うこともあるのではないかと考えています。 ―一般的に「使い易い」オーソドックスなジャンルだけではなく、音楽ライブラリであればもっと幅広い作品を揃えていくことも可能ですね。 近藤:ユーザーの皆様からも、ユニークでアーティスティックな楽曲の要望が届いており、ナッシュスタジオでは既存の業務用音楽ライブラリの概念に捉われないプロジェクトもスタートしています。業務用音源としての「汎用性」を少しわきに置いて、楽曲の「個性」「面白さ」を追及する試みです。ただただ音を楽しんだり、未知の響きを追及したり、自己の世界観を突き詰めたサウンドを作ってみたり・・・いずれにせよ、音楽ライブラリの総合的に充実させ、バリエーションを拡張するためにはそんな新しい実験的な試みも必要とされます。 ―なるほど、そのような広大な音楽のレンジ・可能性から「お題 = 制作テーマ」を絞り込んでいくわけですね。 横山:色々と試行錯誤があり、時間をかけて構築されてきたところがありますが・・・実は、私が入社した当時 (年入社) はお題がありませんでした。当時は楽曲数も今ほど多くはなく (現在は25,000トラック以上所有) 各々の作家が持ち寄った曲がそのままバリエーションになっていたからです。バラエティが増えるにつれて、ライブラリの総合的な充実を念頭に置きながら、同じような作品ばかりにならないように、何を作るべきかを決めていくことになりました。当初は、そんなやり方で曲が作って行けるのだろうか、と個人的には不安でした。 ―それまでは各々が自由に作ったものを持ち寄っていただけだったのが、全く新しい試みとして「お題」制度が導入された。 横山:お題は「お正月」でお願いします、とみんなに発注して本当に満足のいく作品が出来上がってくるのだろうか、一貫性のあるアルバムとしてまとまってくれるのだろうか、そんな不安はありましたが、やっていくうちに、作品としての面白さがどんどん際立ってくるのを感じました。作る側からも、「お題」に向かって音を作る、その楽しさについて想定外の反響がありました。また、お題に合わせてミックスの仕方も変わります。どんとメロディを強調するか、抑えるか。ベースを押し出すか、引っ込めるか、それだけで曲というものは大きく表情を変えるんですね。例えば、インフォメーション系のお題で、ナレーションのバックに流れるタイプの曲であれば、メロディは邪魔になるので控え目に。一方、ドラマチック系のお題であれば、メロディが曲を決める、と言っても過言ではないので、メロディを中心に据えて構成していく等、お題が方向性を明確にしてくれます。 今から思うと、お題によって、ナッシュミュージックライブラリーならではのスタイルが確立され、レーベルとしての統一感が生まれていったのかもしれません。作曲家としては、与えられたお題の範疇でいかに自分らしい、面白い作品をつくれるか、が問われます。あまりがちがちにテーマで縛ってしまうと、作曲家の自由度が奪われ、作品から面白さが失われてしまいます。どこまでを作曲家の感性に委ね、バリエーションとして受け入れ、取り入れていくのか。そしてどこからがNGなのか(笑) それと同時に、業務に使用を想定して「使い易さ」「汎用性」も両立させなければいけません。その辺りを判断していくのは、非常にダイナミックで楽しい作業ですが、一番悩まされるところでもあります。そんな作業を通して、お題の設定の仕方や、それに対して作曲家が提出する作品の精度がどんどん向上していることは確かです。   自社スタジオでサウンドのチェックを行う横山美加 【3】音楽ライブラリが拡げるアーティストのレンジ ―お題の幅、その線引きをどこで行うか。作曲家としては、与えられたお題の中でいかに自分らしさを出せるか・・・そこが腕の見せ所ですね。 近藤:ナッシュスタジオとしては、参加するアーティストには持てる知識、経験、技術をフルに活かしてもらいたいと考えています。まず、われわれスタッフがストロングポイントを把握し、得意な部分を発揮してもらえるようにすることが大事です。実際、今度新しく入ったスタッフの長所を生かしてこんな作品をつくろう、そんな風にお題やプロジェクトを設定することもあります。しかしながら、音楽ライブラリの制作は、その都度違うバラエティが必要とされるので、場合によっては、作曲家が苦手な、あるいは未知のジャンルに挑戦することもあります。そんな時、音楽的な技術・発想はもちろんですが、前向きにチャレンジするメンタリティがナッシュスタジオのアーティストには求められます。 ―専門性・得意ジャンルだけではなく、新しいスキルも進んで獲得していかなければいけない。 近藤:その通りです。みなさん得意分野が違うので、互いから学び取ることもあります。制作を取り仕切るスタッフとしても、アーティストさんには建設的なアドバイス・作品に対するフィードバックを行うよう心がけています。ナッシュスタジオでは、アーティスト同士、お互いに切磋琢磨し、影響を与え合っている部分も大きいです。あの人はこんな曲を作ったのか・・・じゃあ私はこんな曲を作ろう!この人はこんな曲を作れるのか、今度是非一緒にやってみよう!等々、刺激を与え合っていますね。そういう意味では、ナッシュスタジオはにぎやかで楽しい現場になっているのかな、と思いますし、そんな現場だからこそ生まれる活き活きとした作品がありますね。 横山:そんな他者とのコラボレーションを通して、音楽家としてのやりがいや、表現の幅の広がりを感じてもらえるのが音楽ライブラリ制作の醍醐味の一つです。ナッシュスタジオはアーティスト同士のつながりも深く、みんなで定期的に飲みに行ったりもします。アーティスト談義みたいなものはよくしているので、すごくみんな仲がいいです。そんな席で、こんな曲を書くからギターを弾いてください!今度歌ってください!とか、一緒に組んでやってもらう話が出たり、具体的にプロジェクトが動き出すことも多々あります。 ―アーティストとしても成長できる環境があるということですね。 近藤:経験上、必ず成長しますね。最近は20歳の子なんかも新しく入ってきたりしますが、もうあらゆる音楽を作らないといけないので、相乗効果のように、どんどん発想が豊かになっていきます。中には一つのジャンルが得意で、EDM・クラブミュージックに特化した作曲家もいれば、民族系専門、みたいな作曲家もいて、そういう人材が必要とされることも確かにありますが、そんな全部を含めて何でもやってみたい、やってみてやろう、という作曲家にとっては一層刺激的な現場であると思います。 横山:面接に来るアーティストには「こんなのに興味はありますか?」と、個人の音楽活動の中では想定することがないようなスタイルなりジャンルを一度投げかけてみます。例えば、インド音楽とか (笑) それを「面白いですね」と言う人と、「いやーっ」て言う人とがいるんですよ。ハロウィンとか、ジャパニーズホラーとか、IDMとか・・・ ―幅広いですね、次は何が来るか予測できないくらいに・・・ 横山:ナッシュスタジオは個人の音楽活動の範囲では到底思いもよらないようなお題をポンポン投げかけます。ナッシュスタジオで継続的に仕事をしてもらうためには、その辺りを面白がってやっていただける方、という前提がある。音楽家としてのレンジという意味では、色々とやっているうちに、自ずとスキルは上がっていきますし、それは見ていてすごく楽しいものです。企画するスタッフ側としては「できるかな~」と探りながら依頼するわけですが (笑)「この人はこんなこともできるんだ!」「あの人はこんな曲も創れるんだ!」という驚き・発見の喜びがあり、それが一つの大きな醍醐味でもあります。作曲家側も「こんな曲も作れた!」という風に楽しく、面白がりながら、のびのびと自分を表現してもらいたいですね。 近藤:最近の若い作曲家のスタンスは、自分自身のアーティスト活動とナッシュの仕事を必ずしも分けて考えていません。自身の音楽活動の一環として、その中にナッシュミュージックライブラリー制作を自然に取り入れ、SNSなんかでもどんどん個人的に発信しています。必ずしも「黒子」とか「裏方」という認識ではなくて、こんな音楽ライブラリの仕事もミュージシャンとしてやってますよ、アピールさえするようになっていますね。 ―そんな表現を通して自分のレンジを拡張してきたアーティストたちがナッシュミュージックライブラリーを作ってきたのですね。 横山:そうです。大ベテランから、非常に若い人まで、アーティストの年齢層が幅広いのも特徴です。世代を超えて一つの「ナッシュ」というチームになっているイメージです。様々な作風やジャンルに対応する、あらゆる種類のアーティストの方々とお仕事をしてきましたが、基本的に、学ぶことをいとわない、研究熱心なスピリットを持っている方が多いです。企画するスタッフ側としては、お題を含め、作曲家のみなさんに対して色々とオーダーをすることもありますが、その中でも自分らしさを出してもらいたい、自分自身の音を出してもらいたいと思います。それはやっぱり、その人のいいところ、光るところがナッシュミュージックライブラリー特有のバリエーションになっていくからです。 ―DTMが定着した一方で、まだまだ音楽制作は共同作業という面がありますね。 横山:完全に一人きりで行う表現独特の面白さ・世界観はありますが、みんなが各々の楽器・才能を持ち寄って一つの作品をつくりあげる、そんな音楽制作の醍醐味が失われたわけではありません。今後はそういうコラボレーションの面白さをもっともっと追求していきたいと考えています。やっぱりみんなでやるのは楽しいですしね。ストリングス、フルオーケストラ、ジャズバンド・・・素晴らしい演奏を聴くと感動しますし、私自身、作曲家としても刺激される貴重な体験です。ユーザーの皆様からも、生楽器を使用した人間味のある作品への要望は多いので、そういう昔ながらの、ダイナミックなプロジェクトをどんどん行っていくことで応えたいと思います。 今も、音楽制作はたくさんのコミュニケ―ションを必要とします。音楽と言うものは一人黙々と作るもの、そんなイメージを持っている方もいらっしゃると思うんですけどーそういう部分はもちろんありますがー多くの面で人と人との直のコミュニケーション・チームワークによって実現されていくものです。作曲家であれば、こんな音が欲しい、あんな音が欲しい、それをプレイヤーにどのようにして伝えるか。自分の思いを第三者に伝える力は、そういう意味では、良い音楽を作るための武器なので、確かに求められる部分です。 近藤:アーティストの仕事の仕方は、人それぞれ違うと思いますが、曲をつくるという面では、音楽ライブラリの作曲家は、思いついたらそこでさっと書いてしまう。ゾーンに入っているうちに仕上げてしまうことが大事かもしれません。スピード感が求められるからといって、手抜きはもちろん許されませんし、また燃え尽きてしまってもいけませんから、生産的、効率的に作業を行っていくことが必要です。また、いい作品をつくるにはこだわりも必要ですが、時には指摘されたことを受け入れる柔軟性が必要とされます。そういう意味では、音楽ライブラリの総合的な充実というゴールを共有してくれる、プロフェッショナルなアーティストにナッシュスタジオは恵まれています。   作家・演奏家とのコラボレーションを通じて幅広い音楽作品を生み出す 【4】新社長就任~ナッシュスタジオの新しい取り組み ―2018年8月、ナッシュミュージックライブラリーの創業者である梨木良成氏の後任として、元々はナッシュスタジオの音楽制作全体を取り仕切る制作部長であった横山さんが代表取締役に就任しました。 横山:今後は、ナッシュスタジオが第一に「音楽制作会社」であることをユーザーの皆様にもっと認識して頂けるような、クリエイティブな集団だから可能な取り組みを行っていきたいと考えています。現在の音楽・著作権を取り巻く複雑な環境において、「著作権フリー」「音楽ライブラリ」という言葉が一般社会にも浸透し始めていますが、どうしてもそのような著作権フリーの音楽ライブラリの「供給業者」であるとナッシュスタジオは捉えられがちです。ナッシュスタジオは音楽制作会社ですし、オリジナル音源の制作・ライツ管理・供給、その全てを自社で行うわたしたちだからできることがまだまだあるのではないか。 ―外部のアーティストの作品投稿は受け付けていませんし、海外からの輸入音源の取扱も行っていません。 近藤:自社制作にこだわらず、無数のアーティストが作品を持ち寄る音楽ライブラリ・供給業者だから生み出せる音楽のバラエティがありますし、もちろん海外の音源には海外の音源にしかない個性・魅力があります。ナッシュスタジオでは自社制作にこだわることにより、そんな幅広い「音楽ライブラリ」の世界に一つの個性的なバリエーションを作っていると思います。 原則的にオールジャパニーズスタッフで制作を行ってきたので、当然と言えば当然かもしれませんが、ナッシュミュージックライブラリーは、総体として「日本的な音楽コンテンツ」という認識をされているようです。特に、最近は日本のアニメ・ゲーム・ドラマ・バラエティ等の人気が海外でも高まり、その影響で日本のコンテンツにインスパイアされた作品を作るクリエイターが海外でも増えています。彼らは、自分の作品のサウンドトラックに「日本的なサウンド」を求めてナッシュミュージックライブラリーを利用するようになっていますね。 ―逆に、日本人のクリエイターも洋楽っぽいものを求めたりするわけですが、コンテンツによっては洋楽・海外ライブラリの音源はちょっと合わないな、というケースは多々あります。 横山:ドラマの音楽であったり、バラエティの効果音であったり、インフォメーション系であったり。必ずしも伝統的な和風音楽に限らず、ポップスでもイージーリスニングでも、日本特有のカルチャー/サウンドがあります。創業以来35年以上、日本の放送・映像コンテンツ向けにサウンドを提供してきたナッシュミュージックライブラリーにはそのようなジャパニーズサウンドが揃っており、その辺りは海外のライブラリにはない個性だと思いますので、今後も大事にしていきたいと考えています。 ―ナッシュミュージックライブラリーの新たな展開について、何かあれば具体的にお聞かせください。 近藤:これまでは、主に放送・映像業界のプロフェッショナル向けのあくまで「使用される」ための音楽ライブラリ、いわばB to Bのサービスを展開してきましたが、近年、ナッシュミュージックライブラリーの楽曲を使用するのではなく、純粋に音楽コンテンツとして「個人で聴きたい、楽しみたい」という一般リスナーの皆様の声が高まっています。これまでのレコード、CD、ダウンロードという供給形態では、業務用のライセンス価格と折り合いがつかず、一般リスナーの皆様に手が届く価格の設定・供給が不可能でしたが、近年、Apple Music、Spotify、AWA等のストリーミングサービスの利用が若い世代を中心に一般化しており、そのようなストリーミング再生に限定したプラットフォームを通して、ナッシュミュージックライブラリーを一般の皆様向けに楽しんでいただくことも可能ではないか、と考えているところです。 横山:また、これまでナッシュスタジオで楽曲の制作に携わってきたアーティスト各々が、ナッシュミュージックライブラリーの25,000トラック以上のリソースを活かして、一般のリスナーの方にもお楽しみ頂ける「音楽番組」を作り始めています。一人で楽しんだり、BGMとしてお店で流したり、各種イベントや、最近流行しているライブ動画配信で流したり。様々な楽しみ方のできるストリーミング再生に限定した音楽番組の展開を始めたいと思います。 その他、新しくやりたいこと・・・そうですね。でも、普段からやりたいことをやっていますからね。それをもっとやる、って感じかもしれません (笑) 近藤:同感です。