Producer's note
2011.02.10

"山本陽子/花絵巻"が完成しました。日本古来の幻想的で不思議な空間意識とでも言うんでしょうか、月を愛(め)で、カミを畏れ、奇想をめぐらし、自然のいとなみに霊を感じ、なお現実(うつつ)に惑い、恋に狂い、季節にうつろうことで私たち日本人のアイデンティティは確立して来たのかも知れません。 「ただのきれいなヴォイスじゃないのよ!」山本陽子のこのアルバムへのチャレンジには壮絶なものがありました。まるで物の怪がとりついたように連 続爆発 するエモーションに制作現場はしばしば火事場のような様相を呈して、絶望と情熱と涙が交錯する中から、やがてたしかな「形」が徐々に彫りだされてきたような気がします。 ひょっとしたら山本陽子の挑戦は実はこの「日本のこころの生成」過程であったやも知れません。可愛かったり、コワかったり、哀しみにあふれ、毅然と美しく、天女・山本陽子は妖しく微笑んでこころ奪われます。(Nashiki)


Nashiki




Producer's note
2009.06.20

"white in" が完成しました。収録曲は全曲作詞・白 聖堂、作曲・GEN、編曲・近藤 学そして冨岡佐和子のヴォーカルです。それぞれ多才なアーティストではありますが、各々のフィールドは強いて言えば歌謡曲、ロック、エレクトロニカ、そしてゴスペルといったところでしょうか。年齢も様々な異色の組み合わせなんですが、まるで原色が生でまざりあって強烈な世界が飛び出してきたようなアルバムです。ベースメントはもちろん白 聖堂の少々ダークな「おんな」の世界で、きれい事をあざ笑うようかな独特の(しかし決然とした)人生観にあります。そして、その詞・言葉をスピード感あふれるメロディラインとサウンド作りに乗って冨岡佐和子のソウルフルなヴォーカルが歌い上げています。


Nashiki




Producer's note
2009.01.20

Nash & Artists 初のコンピレーションアルバム2タイトル同時発売です。

まず DEEP INSIDE のShige(神村茂三)、初登場の北野仁史、Gekka の村田尚司、擲(teki)の井上耕一による「 Cross Echoes 」。それぞれがより独創的でディープな世界をつくりだしています。そして、スタッフのチーフで初登場のMika(横山美加)と Halcyon のAki (藤本亜紀)による「 eboneis 」です。二人とも達者なキーボーディストですが、それぞれの自在なファンタジーが好対照をなしています。


Nashiki




Producer's note
2007.12.27

Vibe a matic の "Halcyon" が完成しました。

藤本亜紀(keyboard)と坂倉志麻(vocal)の2人のユニット(以前はもっと沢山いたらしい)Viba a matic がなんとも興味深い作品をつくりあげました。彼女たちはうちのスタッフの中では最年少の部類に入るんですが、イマドキの若者らしくクールでアッケラカンとした部分と、妙に奥行きを感じさせる部分を持っています。独自のものを...という私の要望はいつも通りでしたが、返ってきたものは私の予想とは少し違ったものでした。

タイトルは「Halcyon」。ギリシャ神話の女神の名前で、アルシオーネともいわれ、ゼウスの怒りを買って死んだ夫の後を追って海に身を投げ、カワセミになったということです。またこの神話から、そのカワセミが卵を生む冬至前後の穏やかな日々をHalcyon daysというようです。 しかしその名前のもつ穏やかなイメージとは裏腹にこの作品のサブテーマは「自傷」。ポップなパンクとでも言える程ある種過激な内容を持っています。収録されている全曲の流れが「こわれていく女」を描き出しています。

Nash&Artists のこれまでの作品の多くがあたかも一幅の絵画であるのとは対照的に、この作品はあたかもテーマに括られた短編小説集のようですらあります。ちなみに録音・編集にはうちのMikaがかつてなく深くかかわっており、結果トータルで非常に濃い「女の音」になっているといえるかも知れませんね。う~む、恐るべし。


Nashiki




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2007.11.14

かねてより計画していました「音の展示・Nash Sound Gallery 」が次の通り開催されています。

「音の展示・Nash Sound Gallery -1 」 

Deep Inside ~神の名を持つ男たち~ 
テーマ:「渦」 
会場:天人天然芸術研究所(大阪市北区中崎町1丁目7-26) 
会期:11月12日(月)~18日(日) 
時間 12:00~21:00 
内容:神村茂三の音作品と、神野翼の造形(お面など)による「聞いて、見て、さわれる」展覧会。 
最終日18日(日)はJUN×神野翼のパフォーマンス・コラボも予定。

主催: 株式会社ナッシュスタジオ 
TEL 06-6315-1809
提携: 天然芸術研究所 
協力: Salon de AManTO -天人- 
制作: A-yan!!関西をアートで盛り上げるNPO

※本展示は終了いたしました。ご来場いただきました方に心より御礼申し上げます。

この「音の展示・Nash Sound Gallery 」というのは、「誰か」が「演奏している音楽」というより、「音そのもの」がそこにあって、あたかも工芸品を手に取るように、触れるあるいはながめるということを目的としています。絵画がカンバスに描かれた色彩の作品であるように、CDに描かれた完成した「音の作品」として、あたかも美術品と同じように「展示」されます。

「音の展示・Nash Sound Gallery 」は「音の展示」という概念から、本来展示物は音だけでいいという考えからスタートしましたが、そこが一定の空間を有する場であればあえて造形物を排斥する積極的な理由はないことから、個々の「音の作品」とテーマを共有することのできる造形物を同時に展示することにしました。 ただし共有するのは「テーマ」のみで、音とモノとはそれ以外に何ら脈絡はなく、一切コラボレートすることなくおのおのが別の方法で個々表現する、つまり音とモノは他者に依存することなくそれぞれすでに完結した表現であり、それが「ひとつのテーマ」という縁によって同じ空間に共立している....という組み立てです。作品によってはこの2者が融合してうるわしい空間を現出させたり、あるいはことによると闘争のような響きをかもしだすのか、いずれにしろ個と全体あるいは縁起の世界の凝縮図をかいまみるような空間になるのではないかと考えています。ちなみに今回の「テーマ・渦」については見事に共振した世界が現出していると思います。ご縁があればぜひお運び下さい。


Nashiki




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2007.2.2

由利龍示「鬼神」が完成しました。 テーマはずばり「鬼」。博学な由利は、伝統的な鬼についての知識もかなりのものですが、実は彼自身が鬼のような奴なのです。どこか人ならざる要素がある、もしくはそれにさいなまれ続けている。決して粗暴な人間などではないのですが、表情に絶えず怒気を含んでいるというのか、何か押さえきれない情動が彼には漂っていますね。もともとの素直な気質を厚く覆い尽くす得体の知れない怒り、いうなれば鬼気を常に放っているというような印象を与えます。

由利は、日本で最も歴史のある音楽組織とも言える奈良・南都楽所で雅楽のキャリアを積んで来た人間です。つまり日本最古の音楽様式に彼の音楽原点はあります。様々な文化が海を渡って日本、大和に流れ込んでこの地で独自のものとなっていく過程で、音楽はおそらく現代のように分化したものとしてではなく、渾然とした荒々しい精神そのものであったやも知れません。それがそのまま恐ろしいまでの創造の嵐となって今なおとぐろをまいている....由利の鬼気が何かを体現しているのだとしたらひょっとしてこのあたりなんでしょうか。

この作品は私自身かってなく関わりが深かった(テーマを鬼としたのも私)んですが、いや実際難儀しました。由利は「戦いであった」と述懐していますが、私もまた由利の音楽的、情動的な鬼の部分と戦ってきたのかも知れません。 人はすべからく煩悩に翻弄される人生を強いられているようですが、それぞれの人生のどこかでこいつと正対しなければならない。由利にとってこの作品こそが、実は内なる鬼との正対であり、格闘であったのではないかと私は思っています。


Nashiki




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2006.9.11

Shige/神村茂三の”DEEP INSIDE” というアルバムが完成しました。

和のイメージを強く放つ、音の一大絵巻という趣きをもつ作品ですがその基底には「渦」というものに対する彼の独特の感覚・畏れがあるようです。きっかけが台風との遭遇であることはCDのテキストにもありますが、これは心理学的に興味深い事例のひとつなのかも知れません。かの河合隼雄さんの集合無意識の考察に「渦のイメージ」への言及がありますね。母なるものの偉大さと恐ろしさだったでしょうか、ま、それはさておきShigeのこの”DEEP INSIDE” の制作過程には、壇ノ浦の合戦や海の神、怨霊、怨念、鎮魂などのイメージが文字通り浮いたり沈んだりしていたようです。

基調は和太鼓と三味線、それにシンセワークという、ともすればありきたりなパターンになりがちな構成で、しかし一気に聞かせてくれます。音の起伏や変化、ダイナミズムが圧倒的な引力をもっているとでも言ったらいいんでしょうか、実際CDの始まりから終わりまで音の切れ目なく、聞くものすべてを吸い込んでいくようなパワーをもっています。まさしく「渦」ですね。

彼は非常に幅広い音楽的視野と旺盛な好奇心で様々なジャンルの音楽のコアをつかみとるのが実にうまいんですが、必ず自分のモノにしてますね。特定のテーマで仕事をしても結局Shigeそのものになっている。実に才能あるアーティストです。


Nashiki




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2006.6.26

村田尚司「Gekka」が完成、7月7日に発売の予定です。
このGekka、ひとことで言ってとても美しい作品です。おまけにNash & Artistのこれまでの作品の中ではきわだって「まとも(?)」ではあります。というのも彼は自他とも認めるMelody-Makerであり、このアルバムの中でもその特性はいかんなく発揮されており、特にアルバムタイトルと同名の「13.月下」は二胡の独特の音色と相まってなんとも美しく哀切な作品に仕上がっています。アルバムをどのような作品にするかというディスカッションの前提に「美しいメロディ」で、というのがありましたね...彼の場合。

浅田次郎さんの「壬生義士伝」という作品にインスパイアされたそうです。私も読んでみましたがなんともやりきれない想いにとらわれました。貧しさから抜け出るため新撰組に入隊して守銭奴となって家族のために苦闘する男が主人公なんですが、村田君はそこに静と動、生と死、男と女の対立項を静かに悲しく受容するこころを深く感じとったようです。

「Black and White」とか「陰陽」「明暗」のイメージはいろんなアーティストが好んで取り組む題材のひとつではあります(実際村田君自身もそう説明している)が、私にはこのアルバムはその両極間のダイナミックな躍動、均衡、対比、融合というイメージよりは、はっきり言って「生死の境界域」にピタッと貼り付いた澄み切った響きとでも表現したほうがしっくりきます。月に照らし出された一面銀色の、光とも闇ともつかぬこの世の底相に漂ういのちというものが厳粛に映し出されている。実際彼も生死にかかわる大病を経験しているからこそでしょうか、誠実で真摯な音がまっすぐに1kmも先から聞こえてくるような不思議な作品です。


Nashiki




Producer's note
2006.4.14

Nash & Artists、やっとサイトでオンライン購入できるようになりました。長らくご不便をおかけしまた。 同時にiTunesなどファイル販売も順次始まっていますのでそちらのほうもご利用いただけます。

ここんところタカノ(鷹野智志)、村田君(村田尚司)、Shige(神村茂三)、ユリ(由利龍示)の作品づくりが同時に進んでいて、日替わりで制作する時期もあったりして、面白くも、少し混乱気味ではありました。あたりまえですがそれぞれ思い入れが強烈で、Free Use Music制作では従順な彼らも、いざ自分自身の作品となるとやっぱり目の色が変わりますね。もっとも私のほうから出したNash & Artistの制作テーマは「いかに自分自身であるか」のみなんですから、そらそうなるワな。

で、まずはタカノ。タイトルは「POINTER」。 これはすべて完成していて4月20日に発売されます。 強力にヘンで、とても斬新で、電子ロマンとでもいうのか無機質ながら幻想的、既成の何かは確実にブチこわしています。新しい精神というのはいつもとっつきにくいものですが「POINTER」の場合、旧人の理解の届かないところまでぶっとんで行きながら、結構POPなのは意外といえば意外ですね。

タカノ自身もかなりヘンな奴で、ジェントルでどちらかと言えばインテリジェントなんだけれども、ドライなくせに妙にからみつくサランラップみたいなところが印象的(ウルサイ)な好青年(?)ではあります。時にはぐちゃぐちゃになりながら、時にはクールにカッコつけたりしながらも、結果「POINTER」、渾身の作品になっていると思います。


Nashiki



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